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Lee-Byung-hun addicted

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最終話

「釜山より愛を込めて」第8話


翌朝、二人は爽やかな朝を迎えていた。

先に起きたのはビョンホン。

もうかれこれ30分揺の寝顔を見つめていた。


時折髪をなで、おでこや肩にキスをした。

そのときは「う~ん」というものの揺は一向に起きようとしない。

「こいつもしかして『寝ぼすけ』か」ビョンホンはそうつぶやいた。


でも、実は先に起きていたのは揺だった。

彼女はかれこれ一時間前から起きていた。

そしてビョンホンの寝顔をずっと見つめていた。

夕べの出来事が夢のようだった。

昨晩あれから二人は心行くまで愛し合い、

眠りに着いたのはもう明け方だった。

ビョンホンの寝顔を見つめながら、

揺はえもいわれぬ幸福感に包まれていた。

しばらくするとビョンホンが目を覚ました。

揺はとっさに目をつぶって寝たふりをした。

薄目を開けてそ~っと彼を見る。

幸せそうに微笑んでいる。

「あ~良かった」揺は心からそう思った。

そしてビョンホンが髪をなでたりキスしたりしてくれるのを楽しんでいた。

ビョンホンのつぶやきを聞いて、

そろそろ起きなくちゃと思った揺は、

耳元でビョンホンに「寝ぼすけさん、朝ですよ」

とささやかれくすぐったくて飛び起きた。

「おはよう」

「あっ、おはよう。あら、ビョンホンssi早起きなのね。」

「君が寝ぼすけなんだよ」

ビョンホンは勝ち誇ったようにそういった。

揺は心の中で笑いながら

「だって気持ちが良かったんだもん」

と言ってシーツを手繰り寄せた。

「幸せかい?」とビョンホン。

「もう最高に幸せ」揺は満面の笑顔でそう答えた。

「あなたは?」と揺。

「もちろん、僕も最高に幸せだよ。」

そういうと揺をもう一度抱きしめた。

「クックック・・」ビョンホンが突然笑った。

「何がおかしいの?」

怪訝そうな揺に向かって

「いやっ、池脇千鶴ちゃんといい勝負だったよ」

ビョンホンはそういうとゲラゲラと笑った。

「もう、知らないっ」

揺は恥ずかしくなって彼に背を向けた。

「あ~僕は何て幸せなんだろう」

ビョンホンはそういうと揺の背中を後ろから抱きしめた。



二人が部屋を出てきたのは昼近くだった。

ルームサービスで遅い朝食をとり、

慶州に出発する準備を済ませていた。

ロビーでチェックアウトの手続きをしているとハン親子が通りかかった。

「お姉さん、お早う」ミンチョルが駆け寄ってきた。

「お早う。よく眠れた?」揺が尋ねると

「眠れたけどお姉さんがいてくれたらもっとよく眠れたと思う。」

とちょっとふてくされてミンチョルは答えた。

そして会計を済ませたビョンホンに駆け寄ると

「ちゃんと返したよ」と言った。

「お~お前か。確かに受け取った。

おかげでおにいさんはとっても幸せだ。

約束守ってくれてありがとな。」

そういってミンチョルの頭をポンポンと叩いた。

「お父さんがお姉さんにはママにはなってもらえないっていうから、

僕のお嫁さんになってもらうことにしたんだ。」

そういうと闘志むき出しの顔でビョンホンを見ている。

あまりに真剣そうで笑うわけにもいかない。

ビョンホンと揺は顔を見合わせた。

そして揺はミンチョルに言った。

「ミンチョル君、ごめんね。

お姉さん、もう結婚する人決めちゃったの。

だから貴方とは結婚できないわ。

ごめんなさい。きっともっと貴方にぴったりなひとが見つかるわ。」

ミンチョルはその言葉を聞くと父親のところに戻り悔し泣きをした。

心配になった揺とビョンホンがギジュに近寄っていくと

ギジュは笑いながら言った。

「昨晩は大変ご迷惑をおかけしました。

揺さん、いろいろありがとうございました。

ビョンホンさんにも心労をおかけしてすいませんでした。」

それを聞いた揺はクスッと笑った。

「ミンチョル君平気でしょうか」

「初めての失恋ですから。

仕方がありません。

きっとすぐ立ち直れると思います。」

ギジュはそういうとにっこり笑った。

「では、失礼します。お幸せに」

ギジュはそういうと泣くミンチョルを抱いてロビーを後にした。

ミンチョルは泣きながら揺に手を振っている。

「元気でね~」と揺。

「ああ。また男を一人泣かせてしまったわ。」

「一人じゃなくって、二人かもよ。」

ビョンホンは揺の耳元でそうささやいた。

「どういう意味よ」

「まっ、それだけ僕のフィアンセは魅力的ってことさ」

そういうとビョンホンは揺の肩を抱いた。

「さあ、ジェヨンが待ってる。行こう。」

二人は慶州に向けて出発した。



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